遊戯王デュエルリンクスには『スキル』という概念があります。
あるものはモンスターを強化し、またあるものはライフコストを無くし、またあるものは相手のデッキにモンスターを忍び込ませる反則行為ができるなど、それぞれに特徴があり、従って適性があり、つまり正しい使い方というものがあります。
ここでは『スキル』の主だった2つの使い方について紹介していくと共に、この『スキル』というものが遊戯王デュエルリンクスにおいてどれだけの影響力を持つのか使い方とともに注意点をチェックしていきたいと思います。
気になるところからcheck!
【最初に確認】スキルって何? その凄さ!

出典:http://遊戯王デュエルリンクス攻略ぷらす.com/羽蛾のスキル「フライング寄生」の使い方と相性
ずばり、『キャラに装備することで何らかの効果を得ることが出来るお助けギミック』で、『1キャラにつき1つしか装備できません』。
具体的な話を、たとえば冒頭で挙げた『相手のデッキにモンスターを忍び込ませる反則行為』が可能な『スキル』を例として見ていきましょう。
ただその前に、その『スキル』の効果、どこかで聴いたことがないでしょうか?
そういえば、『スキル』は各キャラクターがそれぞれ固有に3~5つ程持つもので、『そのキャラクターが原作・アニメでした行いを踏襲して性能が設定されている』のです。
いやいやしかし、まさか、誇り高き決闘者ばかりだった原作・アニメで『相手のデッキをどうにかするような余りに下劣な反則行為』をやるプレイヤーが居たでしょうか?
『バンデット・キース』? リストバンドに隠していた『7』のカードを手札に加えたりしていましたが、相手のデッキにはちょっかいを出していません。
『梶木漁太』? あくまで『戦術』ですし、誰も反則だと指摘はしていませんが、彼の用いた『シー・ステルス』戦法は海だの水族館の生け簀(梶木談)だのの中にカードやらモンスターを隠す中々ギリギリの行いでした。
とはいえやっぱり相手のデッキにちょっかいなんて出していません。
はて、誰でしょう? 『インセクター羽蛾』?
まさか、『全日本大会で優勝』した彼ほどのプレイヤーが反則なんてするはずもありません。
それに、原作・アニメにおける彼の素行は素晴らしいものでした。
『遊戯』の『エクゾディア』が強過ぎるカードで攻略不能と見るや否や『エクゾディア』を海へ投げ捨てるであるとか、そもそも『遊戯』をカードの中に封印したものを人質とし、遊戯の相棒にしてもうひとつの人格『闇遊戯』を精神的に追い詰めデュエル展開を制約するだとか、『盤外戦術』だって立派な戦術、彼こそ真のデュエリストでしょう。
ちなみに結局、それら盤外戦術を用いたデュエルは『惜しくも敗退』と『ライフが0になったのに死ぬまで相手モンスターによって切り刻まれて惜しくも敗退』と、このようにどちらも敗北に終わってしまっていますが、原作最強のキャラ『闇遊戯』を1度でも追い詰めたのですから、その実力は本物です。
さて、『羽蛾』の顔をある程度たててやったところでそろそろ茶番はやめにしましょう。
そう、『この虫野郎!』の渾名で知られる『原作・アニメ最凶のクズ男インセクター羽蛾』が『決闘都市』編、その対『城ノ内』戦で使った戦術がこの項最初に取り上げると約束したスキル『フライング寄生』の元ネタです。
ところで原作の『フライング寄生』ってどういうものだったか、覚えていらっしゃるでしょうか?
- 少年1人を『レアカードやるからさ』とか言って釣る
- ターゲットである城ノ内のデュエルディスクを釣り上げた少年に盗ませる
- 少年は城ノ内にわざと捕まる。少年をとっちめる城ノ内相手に、少年はすごく憐れっぽい真似と言動を見せ、城ノ内の同情を引く
- 『インセクター羽蛾って奴に、俺のデッキは根こそぎ取られちゃって、仕返しをするためにこいつが必要だったんだ!』
- 『俺がやり返してやるぜ!』城ノ内がああだこうだ言ってるスキに、少年は城ノ内のデッキに『寄生虫パラサイド』を仕込む
- 城ノ内の友人たちは『でもなんかあいつ嘘っぽいよな。お前デッキ確認した方が良いぜ?』と進めてくるが、城ノ内は単純なので確認しない
- 『人を信じたいんだよ俺は!』城ノ内の素晴らしい宣言と共に作戦成功
- 帰ってきた少年にはレアカードだといって『ゴキボール』のカードを与える。『これレアカードじゃない! ゴキボール!』とか生意気抜かしてくるので、野郎の顔にどう見ても『目に入ったらすみやかに水で洗い流したのち、直ちに病院へ行け』そんな注意書きがあるだろう『殺虫スプレー』を散々スプレー噴射してやり、これで準備は万端。少年が床に倒れてようが、全然動かなくなってようが知ったことではない
『この虫野郎!』
なんて卑怯! なんていともたやすく行われるえげつない行為! 『この虫野郎!』叫ばずにはいられません。
ただ、作戦中に自分の名前を出す辺り、『羽蛾』にも実はそれなりに男気があるのか、はたまた『俺の名前を出しとけば話に真実味が出るだろ!』そんな風に自己を客観的に見ていたのか、だとすればとんでもない少年ということになりますが、まあ、そんなことはこの際、置いておきましょう。
今大事なのは、何にせよ、『この作戦が途方もない苦労と共に実行されたこと』です。
いや、実行したのは主に少年ですから彼ばかりが苦労していますし、しかもその少年は最低な目に遭っているわけですが、まあ自業自得ともいえるので放っておくとして、とにかくそんな周到な作戦であった『フライング寄生』を『スキルを装備するだけで再現できる』のです。
これだけでもう『スキル』の凄さは既に充分わかっていただけたのではないでしょうか?
『凄いのはなんとなくわかったけど具体的にデュエルや環境にどう影響しているの?』そんな声が聴こえてきそうです。
ではそろそろ真面目に、詳しい解説を始めましょう。
ここからもうしばらく『フライング寄生』を主な例として扱っていきます。
【スキルの使い方】
使い方1:スキルによってカードの欠点を抑えその魅力を引き出す事ができる

http://appmedia.jp/duel_links/421394
さて、『フライング寄生』にて相手のデッキに潜り込ませられる『寄生虫パラサイド』その効果を見るところから始めます。
『リバース:このカードを相手のデッキに表向きで混ぜてシャッフルする。相手がこのカードをドローした時、このカードは相手フィールド上に表側守備表示で特殊召喚され、相手ライフに1000ポイントのダメージを与える。その後、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て昆虫族となる。』
『虫野郎!』のカードにしてはハマれば強力、というより、ハマれば強力で無ければわざわざ相手のデッキに反則までして混ぜないでしょうし、卑怯な奴が強いのは当たり前のことでもありますが、さておき、このカードのどの辺りが強力なのでしょうか?
『1000ダメージを与える』まずはこれでしょう。
ライフ4000点から始まる『スピードデュエル』で1000ダメージは4分の1に相当しますから、それが1瞬で消し飛ぶとなると壮絶なバーンです。
しかも『こんな雑魚を場に特殊召喚』されるのです。
『アドバンス召喚の種にする』事が出来ないのであれば、無防備な守備力300が場にぽつねん。
守備貫通能力を持つ『逆ギレパンダ』辺りにこのカードがぶん殴られればライフの半分が吹き飛ぶ計算となり、後は『革命』なりなんなり、適当なバーンカードでまた1000ダメージぐらい与えておけば簡単にデュエルを制することができるでしょう。
そういえば原作・アニメの『決闘都市編』では『相手に1000ダメージを与える』魔法カード『デス・メテオ』は『禁止カード』に指定されていました。
というより、4000デュエルで相手にバーンダメージを与えられるカードは基本的に強力に過ぎ、軒並み禁止だったようですが、はてさて、何故パラサイドだけは難を逃れたのでしょうか?
『原作とアニメの考察なんて始められても』と思うかもしれませんが、この考察、実はデュエルリンクスの世界にも通じる考察なのです。
余計な話をまたぺらぺらと始める前に、話を急ぎましょう。
難を逃れた理由、それはずばり『速度の遅さ』が理由では無いでしょうか?
『単に原作版だけ見ればバーンダメージの効果がないからで、アニメ版はその原作を下敷きにしてるからだよ』と言われると痛いところですが、しかしとにかく、このモンスターは原作では『相手のデッキに入っている必要』があり、単体では機能せず何らかの、それこそ『フライング寄生』のような反則かコンボカードが必要でしたし、アニメ・OCGでは『リバースモンスター』であるため、『伏せて』から『相手のターンを生き延びて』そして『リバースしたらしたで相手が引くまで待たねばならず』、しかも『相手がこのカードを引かないと効果発動は無駄に終わる』のです。
これほど遅いのでは、強かろうがなんだろうが採用のしようがありません。
実際、デュエルリンクス内でもこのカードを正規の手段で使っているプレイヤーはほとんど居ません。
正規の手段で? 引っかかる言い方ですが、そう、何らかの方法でなら使われているわけです。
『スキルを用いる方法によって』ですね。
ようやく話が繋がりました。
『スキル』である『フライング寄生』は『装備していれば、デュエル開始時、初期手札が配られたあと、相手のデッキにランダム枚数パラサイドを仕込める』為、『パラサイド』のその強力な効果を手間なく無駄なく、そして素早く、『途方もない苦労をせずに』発動できるのです。
先程『逆ギレパンダで特殊召喚されたパラサイドを云々』と書きましたが、そのコンボは実在し、しかも『環境で頻繁に出会す強力なコンボ』です。
- 『普通に考えれば採用価値より欠点が勝るカードが、スキルの力ひとつで凄まじい力を発揮するようになる』
- 『魅力的ではあるが、効果の制約などが激しく、実現が厳しいコンボを簡単に実行できてしまうようになる』
つまり言い換えればスキルとは、『カードの持つ欠点を補う』或いは『カードの持つ長所を伸ばす』ものなのです。
『パラサイドの持つ無駄をどれだけ省けるか』=『スキルでカードの欠点を補うことがどういうことか』を最も効率よく説明できる題材として、ここでは『フライング寄生』を紹介しましたが、ここからはもう少し、『カードの持つ長所を伸ばす』方についても話しておきましょう。
使い方2:長所を伸ばすことで何の変哲もないカードを環境トップに押し上げる

出典:http://遊戯王デュエルリンクス攻略ぷらす.com/高火力恐竜デッキレシピと使用方法
ここで登場願うのは、奇しくも『羽蛾』の関係者です。
とはいえ原作でそんなにつるんでたわけでもなし、なのに何故かアニメ版では『羽蛾』と組んでいた、というより組まされてしまったというべきか、よって関係者と呼ばれるのは本人的には微妙でしょうが、『ダイナソー竜崎』です。
彼が持つスキル『恐竜王国』は、『デュエル開始時からフィールド魔法ジュラシック・ワールド』を発動しておけるというものです。
『フィールド魔法を最初から? それってどうなの?』
特にビギナーからそんな疑問が頻出しますが、答えは一言『とっても強い』です。
この話をするならまず、デュエルリンクスの環境について簡単に話しておかねばなりません。
より正確には、現時点のデュエルリンクスにおけるモンスターの攻撃力相場の話ですが、では、その相場はどれぐらいでしょう?
1900? 1800かな? OCGのファンやアニメのファンだとそう思うでしょうが、ずばり1500~1600程度で、ちらほらと1700程度のモンスターが見受けられます。
さあ、そんな中に『恐竜族モンスターの攻撃力を300上げる』効果の『ジュラシック・ワールド』があればどうなるでしょう?
もとから恐竜族は平均値の上位攻撃力1600を誇るモンスターが多く、『ジュラシック・ワールド』の補正があればその攻撃力は1900になり、下級モンスター同士の単純な殴り合いでは決して負けません。
このため、恐竜族は『特に効果があるわけでもない通常モンスターの群れ』であるにも係わらず、『環境初期から今日に至るまでトップデッキの座を占めています』。
【ただし】スキル頼みなデッキ構築がされてしまうゲームになってしまっている
さて、ここまで見てきたように『スキル』が持つ環境への影響力は非常に大きいものです。
『フライング寄生』が無ければ誰も『パラサイド』は使わないでしょう。
『恐竜王国』が無ければ『恐竜族』は天下を取れなかったでしょう。
『意外なところが強くなる』であるとか、『誰も予想出来なかったコンボが組める』であるとか、使い方次第で『スキル』はとても面白いデュエルを展開できるのですが、しかし一部のスキルは時に便利過ぎ、あるいは強力に過ぎ、その活用法次第で凶悪なデッキが組めてしまいます。
1度凶悪なコンボやデッキを実現できるスキルが見つかれば、多くのプレイヤーはそれらのスキルにばかり飛びつき、『デッキ以上にスキルが重視される』或いは『強いスキルを活かすことを前提としたデッキが組まれる』傾向がデュエルリンクスにおいては見られ、これによって『デッキの構築力を競う』であるとか『独自のコンボを楽しむ』デュエル本来のお楽しみ要素がやや削がれている印象です。
ですから、この項の冒頭文は、より正確に書き直される必要があるでしょう。
『スキル』が持つ環境への影響力は余りに大き過ぎるのです。
また、この記事で『インセクター羽蛾』と『ダイナソー竜崎』を引き合いにだしたのは、何もウケを狙ってだとか、説明しやすいからだとか、そういう理由だけではありません。
彼らが『代表的な強いスキルを持つキャラ』で、『他に紹介しておいた方がいいようなキャラはあと2、3人しかない』からです。
【つまり】スキル間の優劣と、キャラ間の優劣がありすぎることが残念な欠点
『スキル』は先述の通り『個別に固有のものが設定』されていることが多く、またその能力は殆どが『原作やアニメ』での行いを再現するものであるため、『キャラによっては使いみちの見当たらないスキルがあり、下手をすると所有スキルが全てそんな風』=『そのキャラは使ってもらえない』のです。
あの『闇遊戯』ですらその『スキル』が並程度の性能しかないため、現時点では『まあ強いか普通』程度にしか評価されていません。
ゲームであり、また『固有のスキル』がある以上、格差が生まれるのは仕方のないことですが、『全く使ってもらえないキャラ』が居る半面、『羽蛾』や『竜崎』のように『誰もが使うキャラ』がいる=『環境にいるキャラがほぼ固定で、対戦をしても誰もが同じキャラ、同じスキルを使うので、必然的に同じデッキを使うミラーマッチが起きる』そういうことになりがちなことが『スキル』システムの欠点です。
まとめ
使い方次第で『神にも悪魔にもなる』それが『スキル』というものです。
遊戯王デュエルリンクスがリリースされたころ、あの『虫野郎』が環境にて流行し、しかもその流行の原因が『パラサイド』を主軸としたデッキを駆使できるからだなんて、そんな予想をしたプレイヤーが1人でも居たでしょうか?
こんなミラクルが起きたのですから、恐らく今後とも、『スキル』はその使い方を様々に模索され、時に活用され、時に悪用されながら、このゲームにおける最重要要素として君臨するのでしょう。
であるからこそ、『スキル間格差の是正』を運営には是非望みたいところです。
『自身のスキルを活用して闇マリクをしばきたおし、海馬を椅子代わりにしながらファラオに挑むイシズ』なんて、だって見たいと思いませんか?
夢のような話ですが、しかしそれを実現できるのが『スキル』で、そんな素晴らしいものを与えるだけ与えておいて、それ以上何もない、なんていうのは余りにも酷です。
プレイヤーが動けば運営も動くもの。
好きなキャラクターが強くなくて悲しい! そんな人は是非、運営が実施しているアンケート辺りで、お気に入りキャラの強化を嘆願しましょう。
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